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東京都の教育改革が成功するかどうかは、抵抗勢力を巻き込めるかどうかにかかっています。巻き込めない場合は、改革は失敗に終わるでしょう。巻き込めれば、東京都の教育はバラ色です。ただし、私学を追い越し、都の公立学校が復権するかどうかという問題は別の話しです。もともと学校の存在論的役割が都の公立学校と東京都の私学とでは違っているのです。その違いを不平等とか公平でないとか叫ぶ人がよくいますが、そういう方は、多様な価値観を受け入れないとても危険な偏った思想の持ち主です。そういう思想は、民主主義や市民権の育成を本当に考えているかどうかチェックが必要となります。

 東京都の公教育は、都という自治体の市民生活を守るための市民の育成が第一なのです。経済は閉塞状況です、高校からの就職は困難です。これが要因となって、さまざまな犯罪が起きます。自分を喪失する青年や自分を捨てる若者が増えています。東京都はなんとかしなくてはならないわけです。市場を活性化する知の育成こそ役に立つだろうというのが都の公教育の政策のねらいでしょう。もちろん、東京都の将来のために、世界的視野を身につけることは望ましいのですが、それは東京都に貢献するというのがポイントとなります。「進学指導重点校」という政策は、ほんの一握りの東京都の高校生が対象で、これが都の本来の目的ではないのです。

 一方、私学は、そのような状況をなんとかしなければという気持ちは同じでしょうが、方法論が違います。東京都という地理的条件に縛られる必要はなく、世界のどこに行っても、人々と協力し合いながら、生き抜いていける力、世界に影響を与える創造的な知の育成が目標です。世界市民として生きていき、世界の問題を分かち合い、解決するための様々なプロジェクト・チームを動かしていけるリーダーシップを育成することが肝心なのです。

 もちろん、公立学校に通っている生徒が、世界市民になるのは先にも述べたように大いに良いことです。しかし、それは個人の価値観の問題です。公立学校が制度的に果たさなければならないことではないのです。東京都をはじめ多くの自治体で行っている教育改革は、制度論的には、自治体の生活利益を保守するという目標を越えてなされることはないわけです。これは当然のことで、全うしてもらわなければ困りますが、逆にこれ以上の期待をかけるのはお門違いです。

 公立学校を選ぶか、私立学校を選ぶかというのは、教育の質の違いを選択するだけではなく、将来自分の子どもが自治体で活躍するようになるのか、国で活躍するようになるのか、地球規模で活躍するようになるのかということを決定することでもあるのです。

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著者プロフィール : 本間 勇人



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