受験生が定員より少ない私立学校は、ほぼ全入ということになりますから、経営的には厳しい局面を迎えるのですが、今年は受験生が多かったのだから、どこもそういうことはないだろうと思うかもしれません。しかし、そうはいかないのです。というのは、首都圏には約280校の私立中高一貫校があるわけですが、先ほども申し上げたように、どの学校も多めに合格者を出します。そして手続き者が定員を若干上回るように作戦を立てます。あまり多く取りすぎると、補助金が出ない数が増えますから、経営を圧迫しますから、平均的には10人ぐらいまでにとどめていると思います。
さて、どの私立中学校もそのようなことを実施すると、大変なことになります。280校のうち200校が10人多めにとると、首都圏全体としてはそれだけで2000人多めに吸収できるのです。したがって、今年の受験生が42000人だったとしても、受験生があふれていたわけではなく、世間の評価でいう中堅校・上位校に進学する人数が集中して、それ以外の私立中学校は集まりにくいという結果になったわけです。
しかし、もう少し注意深く見ていくと、中堅校・上位校ではなくても、受験生が増えている学校があります。大学進学実績は、まだでていませんが、将来的には期待感が持てそうだという私立中学校や、従来型の受験カリキュラムとは全く違う新しい教育内容を開発し、現時点で生徒たちの成長が目に見えるようになっている私立中学校には、きちんと生徒が集まっているのです。そういう意味では、保護者の学校選択眼が肥えてきているというのも今年の中学入試の特徴でしょう。
東京都をはじめ、各自治体で、学校改革が実行されています。公立の中高一貫校もすでに全国で50校誕生しています。東京都も2005年までには設置されるようです。東京都はすでに「進学重点指定校」など都立高校復権の政策も実行しています。公立の学力調査テストが各地で実施されていますが、それを見る限りでは、私立中学受験生と公立の生徒の学力差は、少しありすぎるかなと感じます。ですから、いわゆる私立の上位校に対し、新しいタイプの公立学校であったとしても、カリキュラム上では太刀打ちできないのではないかと予想できそうです。しかし、私立の中堅校は微妙です。首都圏の私立学校に入学するとき、初年度に納入する金額は、およそ平均1050000円です。大学受験のコストパフォーマンスだけを考えるなら、私立の上位校に受からなかったら公立へという流れは、強くなるかもしれません。2000人ぐらい影響を受けると計算している私学人もいるぐらいです。
今年の中学入試の動向と公立学校の改革を重ね合わせて考えると、これからは、私立の上位校と世界に受け入れられるユニークな教育を開発している私立学校(偏差値に関係なく)が選ばれ、そうではない私立学校は、公立学校と比較検討される憂き目に合うという傾向になるのではないでしょうか。どうやら、保護者は学校選択の目を養っておく必要がありそうです。
自分の子どもが、今後ますます厳しくなる世の中に出て、サバイバルしていけるようになるには、教育環境は重要です。私たち親には、そのような子どもの成長を可能にしてくれる教育環境を探す義務も権利もあります。どのような学校を捜したらよいのか、家庭ではどのような教育環境を整備していったらよいかなど、真剣に考えることは、とても重要なことです。これから、政府や自治体の教育改革の情報、私立学校や新しいタイプの公立学校の情報、子どもの学習状態の情報などについて、いっしょに考えていきたいと思います。
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